外為法の目的は国際社会の平和及び安全の維持です。そのためには、先進国が持つ高度な貨物や技術がテロリストや専制主義国家等にわたり大量破壊兵器等の開発に繋がる等の脅威を未然に防ぎぐことが重要になります。
そのための手段が安全保障輸出管理です。
安全保障輸出管理は国際社会と足並みを揃えて協力して進めないと意味がありません。そのために先進国が中心となって参加する紳士協定のことを国際輸出管理レジームと呼びます。
外為法は4つの国際輸出管理レジームと国際条約により実施されています。
本来であれば法律と等しく強制力のある国際条約により実施すべきですが、日々変化する国際情勢に対応していくには手続的な観点から不向きと言わざるを得ません。そこで国際輸出管理レジームは参加国の紳士協定という形で
規制する貨物や技術を毎年見直し自国の輸出管理法制度に反映しています。
そこでこの記事では4つの国際輸出管理レジームとは具体的にどのようなものなのかにつき解説したいと思います。
4つの国際輸出管理レジーム
外為法に強く影響を与えている国際輸出管理レジームは全部で4つあります。
それぞれの特徴、設立の経緯を確認しましょう。
①原子力供給国グループ(NSG)
インドが平和利用向けに供給されたカナダ制研究用原子炉から得た使用済燃料を再処理して得たプルトニウムを使用して核実験を行なったことを経緯に1978年に設立されました。
Nuclear Suppliesrs Groupの頭文字をとってNSGと呼ばれています。
つまりNSGは平和目的の核取引が核兵器やその他の核爆発装置の拡散に寄与しないようにすることを目的とした国際的な枠組みです。
規制内容は核兵器の製造等に使用される可能性がある原材料、製造設備等、関連技術の輸出規制です。
外為法の政令である輸出貿易管理令の別表第1・外国為替令別表2の項で規制されています。
②オーストラリアグループ(AG)
イラン・イラク戦争における化学兵器使用を契機に1985年に発足されました。
Australia Groupの頭文字もとってAGと呼ばれます。
この管理レジームも化学兵器も西側諸国から輸出された民生用途の物質、技術が大量破壊兵器に転用されたことがきっかけです。
規制内容は化学兵器、生物兵器の原材料、製造設備等、関連技術の輸出規制です。
外為法の政令である輸出貿易管理令の別表第1・外国為替令別表3の項、3の2の項で規制されています。
③ミサイル関連機材技術輸出規制(MTCR)
1980年代、弾道ミサイルや巡航ミサイルの技術拡散が問題となりました。
特に、大量破壊兵器(核・化学・生物)を運搬できる手段としてのミサイルの拡大です。
NSGとAGで核兵器や化学兵器、生物兵器を規制しましたが、それだけでは意味がなく「運ぶ手段」も規制する必要があるという認識が強まったことが設立の経緯で1987年に設立されました。
Missile Technology Contorol Regime の頭文字をとってMTCRと呼ばれます。またはミサイル技術管理レジームとも言います。
MTCRの目的は大量破壊兵器を運搬可能なミサイルおよび無人航空機(UAV)の拡散防止です。規制内容としては大量破壊兵器の運搬に寄与出来るミサイル、その部分品、製造設備、関連技術の輸出規制になります。
外為法の政令である輸出貿易管理令の別表第1・外国為替令別表4の項で規制されています。
④ワッセナー・アレンジメント(WA)
正式名称は通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセナー・アレンジメント。
冷戦終結を機に1996年に設立されました。
冷戦期には西側が東側への技術流出を防ぐためにCOCOM(対共産圏輸出統制委員会)が存在していました。(1949年設立)
しかし冷戦終結で東西対立の構造が崩壊し、東側だけ規制という仕組みでは対応しきれなくなったことが設立経緯です。COCOMは1994年に解体されます。
ワッセナー・アレンジメントの目的は通常兵器及びデュアルユース品(軍民両用)の不安定な蓄積・拡散を防止することです。
NSG,AG,MTCRが大量破壊兵器等を規制する協定であることに対して、ワッセナー・アレンジメントは通常兵器やデュアルユース品を規制しています。
ただし通常兵器自体は国の自衛権として認められているので、厳しく禁止するのではなく過剰な蓄積の防止を目的としていることが特徴です。
外為法の政令である輸出貿易管理令の別表第1・外国為替令別表の1の項(通常兵器)、および5から15の項(デュアルユース品)で規制されています。
まとめ
外為法の規制品目を定める4つの国際輸出管理レジームにつきまとめました。
この国際輸出管理レジームに参加している国同士は、それぞれ安全保障輸出管理を同じ目線で適切な制度を有している国のため輸出規制が一部緩和されます。
この輸出管理レジームは一つだけ参加している国もあり、4つ全て参加している国もあるのが実状です。
この4つ参加している国は輸出貿易管理令の別表3で確認出来ます。参加していない国に輸出する場合には、迂回輸出や軍事転用等の危険があり、許可申請は厳密になる傾向があります。
実務では別表3に該当する国なのかはもちろん、引き合い先の信用調査、貨物や技術の用途を事前に十分確認する必要があるので注意しましょう。

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