【外為法入門】安全保障輸出管理の対象となる貨物輸出と役務取引

外為法の立法目的は国際社会の平和及び安全の維持を実現することです。

原則自由貿易ですが、上記目的を達成するためには対外取引に対し必要最小限の管理又は調整が必要だと国際的には認識されており、日本も同調した上で外為法令で具体的に規制をしています。

その規制のことを安全保障輸出管理と呼びます。

輸出と書くと貿易だけが規制されているように思うかもしれませんが、そうではありません。

商社や機械メーカーの方が無意識にしてしまうような行為もありますので、外為法をこれから学んでいくという方は是非読み進めてご確認ください。

 

許可が必要な2つの取引

外為法では主に次の2つの行為を規制しています。

◆建設業許可の取得判断が分かれる3つの理由◆


①貨物の輸出

②役務取引

これらの取引をする際には経済産業大臣の許可を取得後でないと取引してはいけません。

それぞれ確認しましょう。

①貨物の輸出

外為法令では外国に輸出する際に許可を取得する必要があります。

例えば大量破壊兵器や通常兵器等の武器の製作に使われる製品です。その製品自体は大量破壊兵器や通常兵器に該当せず、そのような目的で製作されたものでないにしても技術的には転用可能なものがあります。

その転用可能なものを具体的にリスト化している法令が外為法です。

そのリストに該当する貨物を輸出する際には事前に経済産業大臣の許可の取得が必要になる、というのが規制の概要になります。許可を取得しないで輸出すると大変厳しいペナルティが課せられるので注意が必要です。

貨物の輸出に関して、具体的には外為法の第47条と第48条で規定されています。

(輸出の原則)
第四十七条 貨物の輸出は、この法律の目的に合致する限り、最少限度の制限の下に、許容されるものとする。

 

(輸出の許可等)
第四十八条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

仕向地とは貨物が最終的に届けられる目的地送り先のことです。

また運用通達により次のように定められています。

輸出の時点は、特別な場合を除き、貨物を本邦から外国へ向けて送付するために船舶又は航空機に積み込んだ時

言い換えれば外為法で規制されている貨物を正しく適切に手続出来ているかどうかは貨物を本邦から外国へ向けて送付するために船舶又は航空機に積み込んだ時で判断されるということです。

貿易業務に携わられている方からすれば通関で確認されるから、無許可で輸出されることはないのでは。と思われるかもしれませんが、
通関は輸出する貨物のスペックが外為法で規制される基準に達しているかどうかの判断は出来ません。通関時に輸出者に確認することはあっても、それを持って適法に輸出出来たかどうかは別問題だということです。

ちなみに輸出の時点という通達関連で言うと、在日米軍基地や日本国内にある外国の大使館に貨物を納入することは輸出には該当しません。では全く外為法として問題ないのかというとそうでもなく、多くの企業がリスクマネジメントの観点から取引していい国なのか、用途は何に使うのかといった確認をしております。

②役務取引

役務取引とは特定の貨物の種類と貨物の設計、製造、もしくは使用に係る技術の取引を指します。

例えば、製品そのものではないにしても大量破壊兵器や通常兵器等の設計図やプログラミングがテロリストや北朝鮮に渡ったら国際社会の平和はどうなるでしょうか。安全が脅かされてしまいますよね。

よって外為法令で役務取引という形で技術の流出を制限しています。

具体的には第25条です。

(役務取引等)
第二十五条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の種類の貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術(以下「特定技術」という。)を特定の外国(以下「特定国」という。)において提供することを目的とする取引を行おうとする居住者若しくは非居住者又は特定技術を特定国の非居住者に提供することを目的とする取引を行おうとする居住者は、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

実務では設計、製造、使用という言葉が何を指しているのか明確に理解しておかなければなりません。

定義は役務通達から確認出来ます。


設計とは
、設計研究、設計解析、設計概念、プロトタイプの製作及び試験、パイロット生産計画、設計データ、設計データを製品に変化させる過程、外観設計、総合設計、レイアウト等の一連の製造過程の前段階のすべての段階をいう。製造とは、建設、生産エンジニアリング、製品化、統合、組立て(アセンブリ)、検査、試験、品質保証等のすべての製造工程をいう。

使用とは、操作、据付(現地据付を含む。)、保守(点検)、修理、オーバーホール、分解修理等の設計、製造以外の段階をいう。

技術を提供する際に、この取引は設計、製造、使用のいずれかに該当するかどうかということが許可の要否に強く関係するのでご確認ください。

まとめ

外為法の国際社会の平和及び安全の維持という目的を達成するために、対外的な取引をする際に必要最小限の管理又は調整を行うと規定しています。

その手段が安全保障輸出管理です。

安全保障輸出管理には貨物の貿易といった輸出だけではなく、国際社会の平和及び安全の維持を脅かすような技術提供を役務取引と定めて禁止しています。

行政法上、許可とは禁止の解除という意味です。

外為法で規制している貨物の輸出、役務取引は禁止されているので許可を取得する必要があるという骨組みであることをご認識出来れば、一歩目としては十分です。お疲れ様でした。

コメント